犬のてんかん発作は突然起こることが多く、初めて見る場合は飼い主も強い不安やパニックに陥りやすいものです。しかし、発作中の犬の安全を確保し、落ち着いて行動することで被害を最小限に抑えることができます。ここでは、発作時に取るべき基本的な対応を詳しく解説します。
1. 発作の兆候を理解する
犬のてんかん発作には、前兆がある場合があります。兆候を知っておくと、事前に犬を安全な場所に移動させることが可能です。
- 落ち着きがなくなる
- そわそわした行動
- 鳴く、唸る
- 特定の場所に隠れようとする
これらのサインが見られたら、発作が起こる可能性があると認識してください。
2. 安全な環境を整える
発作中の犬は自分で動けず、周囲にぶつかることでケガをする危険があります。まずは安全な場所を確保することが最優先です。
- 周囲に尖った物や家具がないか確認
- 犬を移動させる場合は、やさしく抱きかかえる
- 高い場所や階段など危険な場所から遠ざける
- 小さな犬であれば毛布などでやわらかく囲むのも有効
注意:発作中の犬を口元から触ろうとしたり、舌を押さえようとしたりするのは絶対に避けてください。噛まれる危険がある上、犬自身に危険が及びます。
3. 発作中の犬の様子を観察する
発作の種類や時間を記録することは、獣医師に伝える重要な情報になります。
- 発作の開始時間と終了時間
- 体の動き(硬直、痙攣、よだれ、泡など)
- 意識の有無
- 呼吸の状態
メモやスマホで動画を撮っておくと、獣医師に正確に伝えやすくなります。
4. 発作中の介入は最小限に
発作は通常、数十秒〜数分で自然に収まります。無理に動かしたり、声をかけて落ち着かせようとする必要はありません。
- 手を出さず、距離を置いて観察
- 声は穏やかにかける程度に留める
- 怖がらせないよう、落ち着いた態度を心がける
5. 発作後の対応(回復期)
発作が収まった後、犬は混乱状態(発作後期)になることがあります。安心できる環境を整え、必要に応じて獣医師に相談してください。
- 犬を静かな場所に移動
- 水を少量与えて様子を観察
- 食事はすぐには与えず、落ち着いてから少量ずつ
- 回復が遅い、呼吸が乱れている場合はすぐに動物病院へ
6. すぐに獣医師へ相談すべき場合
- 発作が5分以上続く
- 連続して発作を起こす(群発発作)
- 呼吸困難や意識不明が見られる
- 初めて発作を起こした場合
これらは緊急事態の可能性があります。迷わず動物病院に連絡してください。
7. 事前に準備しておくこと
- 発作の記録用ノートやアプリを用意
- 獣医師に発作の状況を伝えられるよう、動画やメモを残す
- 発作用の安全スペース(毛布やクッション)を確保
まとめ
犬の発作は突然ですが、落ち着いて対応することで安全を守ることができます。ポイントは以下の3つです:
- 安全な環境を確保する
- 発作中は介入せず観察する
- 発作後は犬を安心させ、必要に応じて獣医師に相談する
発作時に慌てず行動できるよう、日頃からシミュレーションしておくと安心です。
👉 次の記事では、犬のてんかんを診断・治療する際の流れを、詳しく解説していきます。